むし歯の治療こそ
歯科治療の基本
たとえコンディションが悪かったとしても、できるだけ歯が長持ちするように歯科医師も努力しなければなりません。重要なのは最新の機材や材料の準備することだけではなく、治療のステップを確実に踏みしめ、地道な手作業を連続させてゆくことなのです。
患者さんの苦労も本当に大きいと思います。大事なお時間を割いて、治療中は長時間お口を開けていないとなりま せん。お恥ずかしい話、私も患者として治療を受けた経験がとても多いので、歯を削られることの不快感はわかっているつもりです(この文章を書いている時、実際にクラウンを被せる治療を受けている時期でした)。
ちょっとした物音や振動も気になるし、今から何をされるのか、何が口に入ってくるのか、どなたでも不安や恐れを感じます。だからこそ私たちは、不安に満ちた患者さんの気持ちに対してできる限り配慮を怠らないように努めています。
むし歯治療
内科とは違う歯科の特殊性
人がいまだに克服できない病、むし歯
むし歯の主な原因は細菌ですが、実は生活習慣病であるともいえます。1993年から2016年まで、子供のむし歯の数は明らかに減少していますが、これは地道な啓発活動が浸透し、家庭での衛生意識が高まった結果でしょう。
むし歯の原因が細菌であることは変わりません。しかし未だにワクチンや抗生剤などむし歯絶滅の特効薬は登場せず、むし歯の予防には毎日の積み重ね、個人の努力が欠かせません。

*DMF歯数は集団における永久歯のむし歯の罹患状態を知るために用います。
むし歯には自然治癒がない
日頃のケアを頑張っても、基本としてむし歯になった歯は自然治癒しません。風邪のように薬を飲んで寝てれば治るということはありません。むし歯は歯科医師が手を施し人工物に置き換え歯を再建します。ですから人工物に置き換わった時点で、本当の治癒(治療)とは呼べないのが歯科治療です。内科治療とは違う歯科の特殊性がここにあります。だからこそ、口腔内と人工物のマッチングが治療の結果を左右するといえます。