顎位
顎機能総合検査
顎機能総合検査について
そもそもどんな検査?
一言でいえば「歯の接触」、「顎位」、「顎の動き」を確かめ、かみ合わせの状況を総合的にチェックするための検査です。
歯の接触のチェック
かみ合わせの重要なチェック項目の一つが、接触のバランスです。かみ合わせが高いのか低いか(強くかんでいるか、かんでいないか)を確かめますが、色のついた紙(咬合紙)をカチカチかんでもらって接触の強弱や、不必要な接触の有無を見定めます。このように咬合紙を使うかみ合わせの確認は最も一般的な検査なので、咬合紙のない歯科医院はおそらく存在しないでしょう。顎関節症とかみ合わせの関連を確かめるために、このような接触状況のチェックは不可欠です。
2色の咬合紙による接触の色付け
赤青のマークから、バランスの崩れや病的な接触がないかをチェックする
顎位のチェック
しかし問題は歯の接触だけではありません。次に確かめなければならないことは、顎位がズレてるかどうかです。
歯並びが綺麗だとしても、上下の歯が接触した瞬間に顎がずれてしまうかみ合わせがあります。つまり顎位がズレるという現象です。
実際顎位にズレが生じていた場合は、かみ合わせの調整だけしても不快症状はほとんど治らないでしょう。無駄に歯を削り過ぎてしまうかもしれません。
顎位の修正が必要になった場合、それをなくして治療の効果は望めません。治療の方針を決める上で最も重要なチェックポイントです。
咬合器による顎位の診査
前方のピンの先端の位置で顎位のズレを
確かめる。
青い点 理想的な顎位
赤い点 実際に噛んだ時の顎位
両者は出来る限り一致させたい
かみ合わせ治療途中の顎位の評価
理想的な顎位(青い点)と実際に噛んだ時の顎位(赤い点)がほぼ一致した。治療は最終段階に入る。
顎の動きのチェック
上記で述べた歯の接触や顎位に問題があったとしても、実際の顎の動きも確かめなければなりません。顎関節の動きは正常なのか?それを知りたくても簡単には確認できません。目に見えない顎関節の動きを追うためには、特別な検査機器が必要です。検査装置の仕組み自体は単純ですが、コンピュータに記録することで、顎の運動を様々な切り口で解析できるようになります。機能運動時の顎全体の動きを把握することは、診断と治療の妥当性を判断する上で不可欠です。
機能検査時の様子
頭と下顎に装置を取り付け、実際の顎の機能運動を記録する。
コンピュータの画面では、
いろいろな部位の動きを確認できる。
赤丸 顎関節自体の動き
青丸 咀嚼運動の歯の動き
適切な治療に繋げるために
診断を下さない限り効果的な治療法は決められません。
かみ合わせに問題はあるのか?
顎位はズレていないか?
顎の機能運動に問題は広がっていないか?
顎関節症は多因子疾患、原因は一つではありません。だからこそ診断の信憑性を高めるために、これら3項目のチェックは最低限必要であると考えています。
顎関節症は症状の出方も人によって違いがあります。顎関節症は数の原因の積み重ねによって発症する病であり、その症状も多岐に及びます。
その症状、歯科治療の領域でない可能性も
そしてさらに重要なことは、的外れな歯科治療を行わないようにするための診断でもあるのです。かみ合わせ由来の症状だと思っていても、調べてみると実はかみ合わせは全く関係していない場合もあります。無駄に歯を削ったり、費用と時間をかけて矯正治療をしても不満が改善しないことがあってはなりません。現在かみ合わせの総合精密検査は保険で認められておりません。費用のかかる検査となりますが(55,000円)、ご理解のほどお願い申し上げます。
高坂デンタルオフィスでは、顎機能総合検査を受ける患者さまに下記のプリントをお渡し、実際の検査でどのようなことを行うか詳しくご説明しております。治療を検討している方は是非ご覧ください。