かみ合わせ治療 1
かみ合わせ
(顎関節症)治療
顎関節症とは?
はじめに
顎関節症は多くの因子が重なり合って発症する病です。しかも原因を特定しにくく、歯科以外の領域が関係している場合も少なくありません。口腔内・外の検査結果によっては、歯科治療だけでは問題が解決しないと予測されることもございます。ご了承ください。
顎関節症の原因になりうるリスク因子
(大阪大学の顎口腔機能再建講座)
1. 外傷
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直接的外傷 打撲、殴打、智歯抜歯,無理な大開口、無理な硬固物咀嚼など
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間接的外傷 むち打ち症
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微小外傷 睡眠時ブラキシズム、覚醒時ブラキシズム、種々の口腔習癖
2. 解剖学的因子
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骨格 顎関節構造の脆弱性、咀嚼筋の生理学的活性の低下
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咬合関係 ※表2参照
3. 病態生理学的因子
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全身因子 全身性関節弛緩,リウマチ
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局所因子 滑液の変化(粘度、潤滑)、関節負荷の変化(加齢、円板転位など)、女性ホルモン
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遺伝 疼痛感受性の亢進
4. 心理社会学的因子
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情動ストレス
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心理的障害 不安、抑うつ、パーソナリティ障害など
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依存 薬物依存、アルコール依存など
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利得 一次利得、二次利得,三次利得
※表2 咬合異常の種類
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中心咬合位と中心位のずれ
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アンテリアガイダンスの欠如
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非作業側での咬合干渉
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咬頭干渉を伴う咬合面の不正
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骨格性および歯性不正咬合
(上顎前突、下顎前突、 ディープバイト、クロスバイト、オープンバイトなど) -
臼歯部支持の欠如
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咬合高径の異常
上の表記のごとく、顎関節症の原因は多岐にわたります。歯科以外の分野においても、専門性がより特化している疾患のように思われます。
顎関節症の治療が難しい理由は、症状と原因が1対1ではない多因子疾患であるからなのです。
咬合治療だけで治る顎関節症は全体の一部です。患者さん個別の原因を事前に特定することは、大変難しいことなのです。
噛み合わせ(顎関節)を診られるのは歯科医師だけ
すべての顎関節症は歯科医院で治せなかったとしても、噛み合わせが原因の顎関節症があることも事実です。必要な治療が歯科の領域だとしたら…、歯科医師は噛み合わせの問題が表面化しているかどうかを確認しなければなりません。
噛み合わせの問題と顎関節症に関係があるかを確かめるためには、歯科での噛み合わせの精密検査が必要です。歯科治療で改善が望めると判断すれば、歯科医師は全力を尽くして患者さんの噛み合わせと顎関節のお悩みに向き合います。原因が他科にあると疑われれば、適切な診療科にご紹介いたします。どのような場合でも患者さん本位で、できる限りのサポートをいたします。
噛み合わせ治療について
顎関節症はその病状により治療方針が変わります。病状によっては筋肉マッサージ※や、顎関節症治療用のマウスピース(スプリント)のように比較的簡単な治療で済む場合もあるでしょう。
しかし劣化した被せ物が噛み合わせを崩していれば、被せ物を新しくしなければなりませんし、歯の喪失が原因で顎がズレていれば、インプラントやブリッジで欠損を補わなくてはなりません。また歯並びの問題が大きければ、矯正治療の検討が必要です。
(※もしも原因が筋肉の過緊張だけならば、町のカイロプラクティック店やマッサージ店で楽になる場合もあるでしょう。歯を削ったりはしないので、問題が大きくなることを心配しないでいいかもしれません。しかし、噛み合わせの問題は医療機関での診査と治療が基本です。)
高坂デンタルオフィスでは、特に次の3点に絞って噛み合わせの精密検査をして咬合を診断しております。
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歯同士の接触に異常がないか?
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顎がズレていないか?
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顎関節の動きに異常はないか
診断を下さなければ治療計画も立てられません。他の科での治療が必要になるかどうかの目安にもなります。本格的に噛み合わせ治療を検討する場合には、どうしても必要な検査です。
噛み合わせ治療の承諾
噛み合わせ治療をご希望の患者さんには、噛み合わせ治療(咬合調整)の開始前に同意書にサインをいただいております。
咬合調整 同意書
咬合調整に関するご説明とおことわり。
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咬合調整は噛み合わせのバランスを変化させるので、部分的な調整だけでは症状が悪化する時もある。
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噛み合わせの問題は、ご自分が症状を実感している部位ではないところに原因がある場合もある。
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咬合調整は、人工物だけでなく症状のない歯の健康なエナメル質も削らなければならない。
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咬合調整は状況の変化を観察しながら、数回の調整が必要である。
- 削る量は最小限としても、患者ご本人の削られた感覚が最小であるとは保証できない。
- 根本的な治療の計画を立てるためには、噛み合わせ総合検査(保険外)が必要である。
- 他科の疾患だけでなくメンタルも影響している場合もあり、噛み合わせ治療だけでは全ての症状が改善しない場合もある。
- 夜間の歯軋りや日中の食いしばりが強い方は、噛み合わせ治療の効果を感じにくい場合もある。
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噛み合わせ問題の原因は目に見えないものも多く、現在の診査法では原因がつかめない時もある。