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顎位3

「顎位」と「前⻭・臼⻭」の関連性

「顎位」と「前⻭」と「臼⻭」の
関連性の話

ヒトの噛み合わせにはバリエーションがあります。よほどの遺伝的疾患が関係していなければ、バリエーションのすべては生物学的には正常といえます。しかし⻭並びや骨格によってはその後の病の発生リスクに差が生まれることも事実なので、そのことについて少し説明を加えます。

☆「被蓋(ひがい)」の話

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被蓋(ひがい)とは、上下の⻭の重なり具合のことを指します。ここでは「前⻭の被蓋」についてお話しします。 前⻭(特に犬⻭)の被蓋が不十分だと、臼歯に過剰な接触が生じます。臼歯はより磨耗しやすくなり、磨耗が進むと病的な接触はどんどん増えていきます。そして重要なことは、奥歯の不必要な接触は顎関節や周辺の筋肉に大きな疲労感を蓄積させるということです。さらに、⻭槽骨にもダメージを与え⻭周病悪化のリスクも高めます。前⻭の被蓋は⻭や⻭周組織、 顎関節へのダメージに直接関係する要素なのです。下の写真は上の前⻭のかぶさり具合、つまり被蓋が非常に良好です。顎を左右にずらしたときそれぞれの写真を見ると、上下の臼⻭の間に十分なスペースが開いていることがわかります。前⻭が奥⻭を守り、顎位の安定を維持させているのです。

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右へずらしたとき

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左へずらしたとき

一方以下の写真は、前⻭の写真を見ると被蓋が不足していることがわかります。 顎を横にずらしたときの左右の臼⻭を観察すると、上下の臼⻭の間にスペース はほとんどなく、常に擦れ合っている様子がわかります。奥⻭や顎関節、⻭周 組織に負担をもたらしやすく、顎位も変化しやすい不安定な噛み合わせです。

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右へずらしたとき

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左へずらしたとき

☆被蓋がありすぎても......

被蓋がないのも困りますが、ありすぎても困るときがあるのです。以下の写真を見ると、上の前⻭が下の前⻭を完全に隠してしまうほどです。被蓋が深いと表現します。これほど下の前⻭が覆い隠されている噛み合わせは、顎を左右に動かしにくくなり、⻭軋りはさらに暴力的な力となり、顎関節症のリスクが高 まります。上下の前⻭の噛み合わせの関係は、顎関節症の発症リスクと直接関係があるのです。

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奥⻭で噛むと、下の前⻭が完全に隠れてしまう。顎の動きが窮 屈になり、⻭軋りの力が顎関節 に集中しやすい。

☆臼⻭の接触関係

以下の写真は顎関節症状でお悩みだった方の咬合調整前後の記録です。天然⻭同士の接触ですが、顎関節に問題が生じている場合もあるのです。顎位を決める赤マークはできるだけポイントで、数カ所以上の接触を求めます。そして、顎位を狂わし顎関節症を引き起こす原因になりやすい⻘マークは、印記されな いことが理想です。

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咬合調整前

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咬合調整後

調整後、顎位がはっきりするとカチカチ噛むだけでも弾むような心地よさを実感する方がほとんどです。顎関節の疲労感も激減しました。

顎関節症、もしくはその予備軍となる患者さんの上の大臼⻭の様子。「たったこれだけの接触で?」と思えるわずかなマークでも痛みの原因としては十分。 機能も脅かします。

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今まで説明した顎位、前⻭、臼⻭はそれだけで独立して存在しているのではなく、すべてが関係性を保ちながら連動し、機能を営なんでいます。そしてある要素の変化は、他のすべてに必ず影響を与えます。噛み合わせを変化させる治 療は、これらの連携がバランスよく成立することをゴールとしなければなりません。

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